
そんな方はとても多いと思います。
面接は緊張しますよね。就職活動や転職活動において、面接は採用可否に直結するため、「失敗したくない」というマインドが自然に働きます。
また、面接は究極の「非日常」的な場面であり、何回も面接を経験している人でも緊張するのは当たり前です。
緊張するのは全然OK。ただ、重要なのは、面接本番というより、「面接本番前にどう準備するか」です。ここで全てが決まります。
どうすれば面接で良い印象を与え、内定を勝ち取れるのか?
国内外で約500人以上を面接し、現在は海外で会社経営をさせていただいている経験の中から、経営者や面接官が面接で知りたい最も重要なことについて、具体的なアクションプランと主にお話ししていきたいと思います。
面接官が面接で知りたい最も重要なこと
結論からお話しすると、経営者や面接官が知りたい最も重要なことは、

ここに尽きます。しかも、「超具体的に」知りたがっています。
ここさえしっかりと抑えておけば、あなたが内定をもらえる可能性は飛躍的に上がる、と断言できます。
逆に言うと、ここを抑えておかなければ、残念ながら他の候補者と一緒にふるい落とされてしまいます。
なぜ「会社にどう貢献するか」を伝えることが重要なのか
まだ入社もしていないのに、なぜ「会社にどう貢献するか」を伝えることが重要なのか。
それを理解するために、以下を理解していただくことが重要です。

会社は、人材という新たな資産に対して投資を行い、相応以上のリターンを期待します。まずは具体的に数値化してみましょう。

例えば、業務拡大に向けて新しい社員を月給300,000円にて補強することになった場合、1ヶ月に以下の総人件費がかかるとします。
- 社員の給与:300,000円
- 間接人件費:90,000円
- 社会保険料、厚生年金、雇用保険:45,000円(会社負担の場合)
- 賞与:1ヶ月分の場合、300,000 ÷ 12ヶ月 = 25,000円
総人件費合計:460,000円
間接人件費とは?
会社で働く人の全てが直接営業活動に関わるわけではありません。経理や総務、人事などのバックオフィスは、直接営業に関わることなく会社をサポートしています。このように売上に直接関係ない業務を行う社員の人件費を、間接人件費といいます。割合は業種や会社によりますが、直接売上を上げることを業務とする社員はこの間接人件費も稼ぎ出す必要があります。
上記の通り、月給だけが人件費ではありません。経営者の立場から言えば「総人件費」として考える必要があります。
また、売上を上げるためには、当然原価、広告宣伝費、交通費、通信費、教育費、その他多くの経費がかかります。経費は業種によって大きく異なるため、仮にこの経費合計を総人件費と同額の460,000円とします。
すると、合計で920,000円のコストがかかるため、新規人材は1ヶ月に以下いずれかの成果を上げることが求められます。
- 月に920,000円以上の売上を上げる
- 月に売上UP額+採用前の経費削減額の合計を920,000円とする
「給料の3倍は稼がないといけない」という話を聞いたこともある方もいるかもしれませんが、300,000円の給料に対して920,000円以上の成果を求められるので、まさに給料の3倍の成果を上げる必要性があることがお分かりいただけるかと思います。
上記ケースはあくまで一例ですが、このように数字に落とし込むと採用側が「この人材がどう貢献してくれるのか」を具体的に把握したい理由が見えてきます。
「どう貢献してくれるのか」が具体的に分からなければ、候補者からは簡単に外れてしまう、ということになります。(中には「どう貢献してくれるのか」を見極めずに採用している会社もありますが、人選の質が悪いと集まって来る人材の質も悪くなるため、こういった会社への転職はオススメしません)
どんな業態においても、人材というのは会社にとって最重要資産の1つなので、この人材の質が会社の将来を左右すると言っても過言ではありません。採用される側のあなたも重圧を感じるのかもしれませんが、採用する側の面接官や経営者も「今後の会社の動向を左右する」ような重要な判断をするための重圧を感じているのです。
どうすれば「どう貢献するか」をアピールできるのか
では、どうすれば「どう貢献するか」をアピールできるのでしょうか?具体的なアクションプランをご紹介します。
ファーストステップは、

自己分析プロセス:自分のスキルセットをリストアップする
まずは、ご自分の経験に基づいて、これまでの実績や積み上げてきたスキルをできるだけ具体的かつ詳細にリスト化してみましょう。
オススメなのは、まず活動内容や実績、取得したスキルの「詳細リスト」を作成し、それをもとに「スキルサマリー」を作成することです。
前者はご自身のスキルを詳細に把握する役割、後者はそれを簡潔に分かりやすくまとめることでご自身及び面接官にとってスキルセットを整理する役割があります。
スキルセット詳細
まずは私の例で恐縮ですが、私がリストアップしたスキルセットの詳細は以下の通りです。
スキルセット詳細

スキルセットは、ご自身の活動に基づいて「できるだけ具体的かつ詳細に」書き出してみましょう。
スキルサマリー
続いて、上記リストを元に作成したスキルサマリーをご紹介します。
スキルサマリー
- 「目標を明確に定め、計画を詳細に練り、粘り強く着実に成果に結びつけることができる能力」
- 「7年に渡る米国留学経験で培った語学力やコミュニケーション力、通訳スキル、翻訳スキル、柔軟発想、適応力」
- 「4年半に渡る大手広告会社で培った営業スキルやマーケティングスキル、プレゼンスキル、プロジェクト管理能力」
- 「自ら出資してゼロから起業した経験」
- 「4年以上に渡る経営者・オーナーの側近として身につけた事業計画・経営企画・経営管理・人材管理などのスキル」
- 「最速で多種多様なアウトプットを創出しながらも、最終的にそれぞれを最良のものに磨き上げられる能力」
- 「多種多様な業界における業務経験」
- 「フィリピンという困難な市場においても、現地企業社長兼COOとしてチームをまとめ上げ経営実績を積み上げてきた経験」
サマリー作成は決まったやり方があるわけではありませんが、以下のようなポイントを意識すると分かりやすいサマリーが作れるかと思います。
- 箇条書きにする
- 1つあたり最大50文字程度にまとめる
- 数値などを入れて極力具体的で分かりやすくする
- 誰がパッと見ても「この人はこんなことができるんだ」と一目で分かるようにまとめる
ご自身のスキルセットの棚卸し作業をやっていただくことで、「自分が何ができるか」「どんな価値が提供できるか」をざっくりと把握していただくことができます。
また、ご自身でスキルセットを整理していただくだけでなく、客観的に見て何が自分の強みなのかを把握できれば、合理的なアピールに繋がるため更に効果的です。ご自身の強みを把握できるオススメのツールは、「ストレングスファインダー」です。ストレングスファインダーについては以下記事にて詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
ご自身のスキル分析は1-2時間あれば完了します。ご自身のキャリアを見直すという意味でも、是非やってみてください。
次に、セカンドステップとしては、

会社分析プロセス:転職先の企業の課題を徹底分析する
ご自身のスキルを把握した後は、転職を希望する企業の課題を徹底分析していきます。
企業ホームページを調べる
企業分析の基本中の基本が、その企業のホームページを徹底的に調べることです。
企業の基本的な情報は、大抵ホームページに全て書かれています。
面接を行う殆どの人は多忙で、「うちの企業に興味があるのだったら、企業のホームページを見て基本的な情報くらいは抑えているだろう」という期待感を持っています。それをいちいち説明するのは時間の無駄、と考えているので、ホームページの内容は必ずチェックしておきましょう。
ホームページの中身を見ないで面接に臨んでしまうと、「圧倒的に準備不足」と思われてしまい、次のステージに進めなくなります。私も採用する側の立場で多忙を極めているため、ホームページすら見ていない人は残念ながらすぐに落選とさせていただいています。
では、どのような情報を把握しておけば良いのでしょうか?以下3つのポイントを把握しておけば十分かと思います。



客観的な情報を収集し、外部サイトを活用する
企業のHPを確認するだけでは不十分です。「自分たちの会社はこうだ」という主観的な情報以外に重要なのが、「外部から見てこの企業はどうなのか」という客観的な情報が必要になってきます。
客観的な情報を得るには以下の方法がオススメです。

四季報に関しては以下記事にて詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

Openworkに関しては以下記事にて詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。
面接又はそれ以外の場で同僚や上司となり得る人に今の一番の課題は何かを直接ヒアリングする
企業が新規で採用をかける理由は、間違いなく「何らかの課題が存在し、それを解決すること」です。
そして、採用される側が一番把握しなければならないのが、「現場で今どんな課題が存在しているのか」です。企業側からそのあたりをある程度話してくれるはずですが、そうでない場合は、こちらから聞く必要があります。
もし最初の面接でそのあたりをヒアリングできる機会が無ければ、「自分の同僚又は上司となる方とお話しできる機会はありますか?」と聞いてみましょう。大抵の場合はOKしてくれ、場合によっては細かく今抱えている課題を話してくれます。
聞き方は至ってシンプルです。以下のように聞いてみましょう。

この質問をすることで、企業側に「真剣にうちに来たいと考えているんだな」というのが伝わります。
また、ベストシナリオとしては、企業側から詳しくヒアリングをした後に、もしすぐに「自分だったらこう解決したいです」という話ができることです。特に上司になる方とそういった話ができれば、「即戦力になりうる」と判断され、面接の次のステップに進みやすくなります。企業にとって、即戦力ほど心強く有り難い存在はいません。トレーニングに時間をかける必要がなく、すぐに成果をもたらしてくれるからです。
ただし、注意していただきたいのが、「ご自身のキャパシティや能力、スキル以上でできる解決策や、非現実的で具体性に欠ける提案」をすることです。これをやってしまうと逆効果になったり、あるいは入社した後にご自身が必要以上に苦労してしまうことになるため、あくまで現実的で実現可能な提案に留めておきましょう。
このような前向きな質問や提案ができる候補生は、まだまだ少数派です。このような質問ができるだけで、他の候補生との差別化ができるので、くれぐれもご無理無きよう。
企業トップのインタビュー記事や動画などを見てみる
企業トップのインタビュー記事や動画があれば、そちらを是非見てみましょう。企業トップがどんな考えやビジョンを持っているのかを把握することは大変重要です。もしそのビジョンに共感できるポイントがあれば、仮に入社できた場合高いモチベーションを持って業務に取り組めることをしっかりアピールしましょう。

ただし、もし共感ポイントが少なかったり、そもそも考えが合わない、ということであれば、あなたご自身が社風に合っていない可能性があるので、そういった企業に転職することはオススメしません。無理をせず、他の会社をあたってみましょう。
集めた情報を元に、「どう貢献ができるか」をまとめ、言語化して具体的に表現してみる
- 自己スキル分析
- 会社分析
以上は全体の90%ほどのウェイトを占めるので、あとは集めた情報を元に「自分がどうこの会社に貢献できるのか」を出来るだけ具体的に表現をするのみです。この作業はすぐに終わります。
あくまで例ですが、以下のように会社の課題とご自身の強みやスキルを並べてみます。

ここまでのプロセスを行なっている候補生は少なく、実はこれでも十分なのですが、更にアクションプランに落とし込めば完璧です。
このアクションプランを作成する際は、「SMART」を意識しましょう。
SMARTとは?
Specific(具体的な)、Measurable(測定可能な)、Attainable(実現可能な)、Realistic(現実的な)、 Time-bound(時間ベースで作られた)の頭文字を取ったもので、目標設定や予算策定、及びアクションプラン構築の際に抑えておくべき重要な5つのポイントを総称したもの。
上記シナリオを元にして作成した、アクションプランの一例は以下の通りです。

まとめ
いかがでしたか?まとめると、以下のようになります。
- 企業の面接官や経営者は、採用面接の際、「あなたがどのように会社に貢献してくれるのか」を超具体的に知りたがっている
- 企業の面接官や経営者が「どのように貢献してくれるか」を知りたい一番の理由は、採用は会社の重要な投資活動の1つであり、新たな人材を採用し育てるには給与をはるかに上回る成果を上げなければならないから。
- 「どのように貢献できるか」をアピールするためのアクションプラン
- 自己分析プロセス:自分のスキルセットをリストアップする
- スキルセットを詳細に洗い出す
- スキルセット詳細を元にスキルサマリーを作成する
- 会社分析プロセス:転職先の企業の課題を徹底分析する
- 企業ホームページをリサーチする
- 客観的な情報を収集し、外部サイトを活用する
- 面接又はそれ以外の場で同僚や上司となり得る人に今の一番の課題は何かを直接ヒアリングする
- 企業トップのインタビュー記事や動画などを見てみる
- 集めた情報を元に、「どう貢献ができるか」をまとめ、言語化して具体的に表現してみる
- 自己分析プロセス:自分のスキルセットをリストアップする
面接で緊張するのは全然OKです。程よい緊張感は、むしろ面接官に対して良い印象を与えることもあります。
緊張している中でも、上記ステップを踏んでいただき、準備を万端にすることできっと良い面接に繋がります。
例え上記ステップを踏んで内定が取れなかったとしても、必ず他の企業との面接でもこのステップは生きます。
この記事が、あなたの就職活動・転職活動に少しでも役立つことができれば嬉しいです。